鎌倉
約16.9×6.3×3.2㎝(高さ×幅×奥行)
半身裸像の誕生仏です。
右手は頭上に掲げ人差し指を上に立てて、左手は人差し指で地面を指しています。
衣に覆われた下半身は右膝をやや屈め上半身は胸を張り顔はまっすぐ前方に向けています。
立体的な層を刻む衣のリアリズムは鎌倉時代の様相を帯びています。
リアリティある表現は他にも、脇から流れる膨らんだ胸、たっぷりした腹、ふくよかな二の腕など丸みのある柔らかな幼児の体つきや、頬が横に広がった肉付豊かな顔にも表れています。
首は三道で胴体に対して頭はほぼまっすぐに乗っています。
右膝を屈め、くの字に緩やかに挙げた腕など全身に程よく力が抜けているのに対して、こちらを見つめる顔の一文字の結んだ口元、力強く天地を指す人差し指から針状の緊張感が漂い、緩急混ざり合った巧みな知性を感じさせる立像です。
天地を指す両手の指はきれいに残っています。
膝から下の前部分は欠損があります。