パリ伝統のクチュール・ビーズ刺繍のアート作品を展示
佐藤佳乃子は、クチュール・ビース刺繍の技法を用い、壁掛けのオブジェやモビールなど、暮らしに身近な作品を制作しています。
クチュール刺繍とは、「フランスの高級仕立服である、オートクチュールを手掛けるアトリエで用いられる伝統的な刺繍技法」で、ファッションの世界では、パリ・コレクションに代表されるメゾンで伝統が引き継がれてきました。クチュール・ビーズ刺繍とは、ビーズを使った刺繍で、その豪華さはフランスの伝統刺繍を代表するものとして知られています。
オートクチュールと言えばファッションの世界では誰もが憧れる世界である一方で、高額であることからある限られた富裕層のものというイメージがあります。佐藤佳乃子は、オートクチュール刺繍を学んだ後、刺繍職人として活動し、2022年からは本格的なクチュール・ビース刺繍の誰もが楽しんで飾れるアート作品を発表しています。
作品の特長は、刺繍モチーフが幾何学模様であることです。これは、「空間に少し違和感を与える」考えによるもので、エッジの効いたデザインと伝統技法が相まって、飾ることでエスプリの効いた空間を演出します。また、刺繍のオブジェを支持体から少し浮かせて設置することで、オブジェの影が落ち、光と影の立体的な効果を生み出しています。
今展では、代表作である壁掛けオブジェ24点が出品されます。また、壁掛けオブジェのほかに、蓋もの、ランプシェード、卓上モビールなど様々なビーズ刺繍作品も展示販売いたします。デザイン建築空間ならではの展示をお楽しみください。
11月23日(土・祝)には、佐藤氏による実演もご覧いただけます。
《flowers blue》 ガラス、ビーズ、和紙 / H25.0×W25.0×D5.0㎝ / 2023 ©佐藤佳乃子
本展のタイトルである、「たゆたう時」のたゆたうとは、さまざまな事象があちらこちらとさだめなく揺れ動き漂う、という意味を持ちます。
今展では、古美術コレクションを設えた自然光が差し込む空間で展示します。
光と影がたゆたう中で、悠久の時を超えた古美術と作品のとの間の、たゆたう時間の存在を表現できればと思います。
特に、壁掛けオブジェと卓上モビールは、飾る場所や時間帯によって、出来る影のかたちや濃さが変わってきますので、一つの作品でも見る度に違う印象を与えます。夜の間接照明に照らされたビーズは星屑のように輝きます。
一日を通して変化する、光と影が渾然一体となってたゆたう姿をお楽しみいただけましたら幸いです。
《 composition b 》ガラス、ビーズ、和紙 / H24.5×W24.6×D3.5㎝ / 2024 (アクリルケースあり) ©佐藤佳乃子
《 route I 》ガラス、ビーズ、和紙 / H39.0×W22.0×D6.0㎝ / 2022 ©佐藤佳乃子
©佐藤佳乃子
刺繍作家
岩手県生まれ
2012年、都内でオートクチュール刺繍を学ぶ。
2013年より刺繍職人として制作に携わる傍ら、影とゆらぎに焦点を当てた空間に動きの出る作品づくりを目指して、2022年より本格的に活動をスタート。
「インテリアに馴染みつつ、なぜか目を惹く、心地良い違和感」がブランドのコンセ プト。
【プロデュース企画】
インテリアコーディネーター山本里奈氏とのコラボ、作品の空間コーディネートを提案
また、今展では、インテリアコーディネーター山本里奈氏による、作品のインテリア空間提案を行います。会場にて、暮らしの様々なシーンに作品を配置した3Dパースをご覧いただけます。
「ヨーロッパ」「和」「ナチュラル」「モダン」「ホワイト」の5つの空間イメージに、作品をコーディネートした20パターンをご用意しました。寝室やワークスペースなどの暮らしのシーン毎に、家具やグリーンとの組み合わせ方や昼間だけでなく夜の照明との合わせ方など、様々なコーディネートをリアルな3D画像でご覧いただけます。ご自宅に飾る際の、より具体的なイメージのご参考にしていただければと思います。
佐藤佳乃子さんの実演がある同じ11月23日(土・祝)には、山本里奈さんが在廊し直接アドバイスを受けながら鑑賞もしていただけます。予約は不要ですので、お気軽にお越しください。