大豆生田綾子「光の記憶」2025年6月5日(木)~6月17日(火)

[切子+サンドブラスト]ガラス作品展

【本展の見どころ】

大豆生田綾子は、切子とサンドブラストの技法を併用してガラス作品を制作しています。モチーフは、金魚や猫、花々など身近にいる生きものたちです。表現の礎となっているのは、これらの身近にいる小さな命の輝きに触れた際に心に響いた記憶です。誰しもが、自然の中で遊んでいるとき、生きものを通して生命の美しさにハッとさせられた記憶はあるでしょう。作品を見ると、眠っていた無垢の感動が作家の記憶と共鳴し懐かしい親しみを感じさせます。小さく閉じられたガラスの形状の内に配置された生きものたちの、規則的に鼓動する命のリズムが聞こえてきそうです。

ガラスはもともと物質的存在が強い素材のため、冷たい鋭さが表面化しがちですが、大豆生田綾子のガラス作品はあくまでも繊細で柔らかく抒情的です。心の内の記憶を丹念に削り込み、透明なガラスに透過し視覚化させることで、時を超えた、現実と記憶の狭間で揺れ動く命の愛おしさが際立つ作品となっています。


会場となるギャラリーQuadrivium Ostium(クアドリヴイウム・オスティウム)は、奥鎌倉と呼ばれる浄明寺地域の観光客も足を踏み入れない山深い丘の上にあります。会期中はちょうど初夏の緑が美しい季節です。自然の光を取り入れたモダンなデザイン建築空間で、「光の記憶」が煌めく美しいガラスの世界を是非ご高覧ください。

猫爛漫》  口径19.0×高さ10.0cm / ガラス・切子+サンドブラスト / 2025

《猫のグラス 「望む」》 口径7.5×高さ13.0cm /  ガラス・切子+サンドブラスト / 2025

「光の記憶」展によせるメッセージ  大豆生田綾子

鎌倉の空気の中、こうして作品を見ていただけることをとても嬉しく思います。

本展のタイトル「光の記憶」は、日々の中にふと現れる一瞬の光のような、心がはずんだ瞬間ときらめくガラスの光を表現した言葉です。

磯場の小さな潮だまりで、生き生きと動くカニやヤドカリを見つけた時、ポンと心がはずんだことを憶えています。
生きものたちが住んでいる小さな世界がキラキラとかがやいて見えました。私にとってガラスを削ることは、このような記憶の中にある小さな景色や感情を静かにかたちにしていく作業です。削りだすごとに浮かび上がる色や模様は、私の内にある風景であり、作品を見るとどこか懐かしさがこみあげてきます。

今回は、鎌倉という歴史と自然が息づく場所で展示の機会をいただきました。作品がこの地の光や空気の中でどのような表情をみせてくれるのか、私自身も楽しみにしています。見る方それぞれの記憶や感覚に寄り添うことができますように。

どうぞ、ごゆっくりとご高覧ください。

《百合の鉢 「白百合」》  
口径14.5×高さ9.5cm /  ガラス・切子+サンドブラスト / 2023

《猫の小鉢 「虎視眈々」 「一休み」 「思案中」
口径10.0×高さ6.0cm /  ガラス・切子+サンドブラスト / 2024

ステートメント

最近、「生きものがお好きなんですね。」と言われて、一瞬、言葉につまったことがありました。子供の頃の記憶をたどってみると、土を掘り起こせばカブトムシの幼虫がゴロゴロと出てきたり、無数に飛んでいるトンボを飽きることなく追い続けたり、田んぼの中のイナゴを袋いっぱいに集めたり、日々当たり前のように生きものたちに囲まれていました。
身近な存在だったので好きかどうか考えたことがなかった、だから返事につまってしまったのだと思います。
しかし、子供の心をつかんで離さなかった生命力あふれる小さな生きものたちは魅力的な存在に違いなく、やはり私は生きものが好きなのでしょう。
生きものの躍動感を透明で繊細なガラスで表現できたらと思い日々制作しております。

プライベートコレクションの中の秘蔵品を公開販売

展示販売する民族布は、酒井氏がサラリーマン時代からコツコツと集めたものです。当時はインターネットで海外とのメールのやりとりができるようになった頃で、酒井氏は、ヨーロッパのキリムコレクターに直接コンタクトをとり購入することで徐々にコレクションを増やしていきました。今展では、民族布の文化的価値を伝承していく意味からも特別なご協力をいただき、コレクションの中でも100年近く前の19世紀後期から20世紀前期のアンティーク・キリムと呼ばれる歴史的、美術的価値の高いアートピースにあたる秘蔵品が出品されます。

時を経たキリムは、羊毛はすり減り色も褪せていますが、化学染料を殆ど使っていないため色彩は豊かで、模様は幸福を願う象徴の文様が使われています。丁寧に織り伝えてきた遊牧民の女性たちの暮らしの歴史を湛えた品々は、観る者に深い感動を与えることでしょう。

市場に流通していない、貴重な個人コレクションを展示販売する希少な機会です。是非ご高覧ください。ご来廊を心よりお待ちしております。

©佐藤佳乃子

大豆生田綾子(おおまめうだ あやこ)

刺繍作家

1975年 神奈川生まれ
2003年 東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了
2001年 東京藝術大
1975年 栃木県生まれ
     手つかずの自然が残る環境の中で育つ
1993年 女子美術短期大学造形科・生活デザイン専攻入学
     アパレル・テキスタイルを学ぶ
1995年 女子美術短期大学造形科・生活デザイン専攻卒業1996年 女子美術大学短期大学専攻科卒業
1996~1997年  草木染月明塾(東京都青梅市)にて草木染を学ぶ
1997~2004年  江戸切子の工房で働く(東京)
2005年~  切子とサンドブラストの技法を併用した作品の制作を始め学美術学部デザイン科卒業

【主な個展 ・ グループ展】
2023年   「いきものイロイロ」日本橋髙島屋(東京)
2018年   「切子+サンドブラスト」ギャラリー田中(東京)
2014年   「現代日本ガラス工芸の最前線」黒壁30號館長浜アートセンター(滋賀)
2013年   「切子三様展」日本橋髙島屋(東京)
    「現代カットガラス展」岐阜髙島屋(岐阜)
2006~2012年  「切子+サンドブラスト」ギャラリー田中(東京)
他 ギャラリー梅鳳堂(北海道)、悠遊舎ぎゃらりいSAPPORO(北海道)、アートスペースカワモト(富山)など

《桜の鉢 「満開」》  
口径18.0×高さ9.5cm / ガラス・切子+サンドブラスト / 2025

《薔薇のぐい吞み 「青い薔薇」
口径5.0×高さ6.0cm / ガラス・切子+サンドブラスト / 2025

【イベント】「トーク&レセプションパーティー」6月7日(土)開催(予約不要・無料)

6月7日(土)トークショー&レセプションパーティーを開催いたします。

トルバ(小物入袋)/バルーチ族/19世紀後期/個人蔵

トルバ(小物入袋)/バルーチ族/19世紀後期/個人蔵

【イベント概要】

開催日時:6月7日(土)14:00~18:00
開催会場:ギャラリーQuadrivium Ostium
参加費:無料
予約:不要、出入り自由

■トークショー:14:00~15:00
スピーカー:大豆生田綾子(ガラス工芸作家)
ファシリテーター:黒田幸代(Quadrivium Ostiumオーナー)

レセプションパーティー:15:00~18:00(出入り自由)
トークショーの後、ささやかなパーティーを開きます。パーティーのみのご参加も可能です。作家とのご歓談をお楽しみください。

株式会社Quadrivium
〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
Tel:080-5430-6641 (黒田)  Mail:s.kuroda@quadriviumostium.com
【展覧会期間中:予約不要・ 展覧会期間以外は予約制】
水曜定休・ほか不定休 営業時間 11:00〜17:00

株式会社Quadrivium
〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
Tel:080-5430-6641 (黒田)
Mail:s.kuroda@quadriviumostium.com
【展覧会期間中:予約不要・展覧会期間以外は予約制】
水曜定休・ほか不定休 営業時間 11:00〜17:00

© Quadrivium Ostium
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