《Time Combing》キャンバスに油彩、ダーマトグラフ/90.9×72.7㎝(F30)/2024
見どころ① 圧倒的な写実表現で多様なモチーフを重ねる
熊倉涼子は、神話・伝承、学問・思想など、人類の探求において生み出されたイメージと現実世界の様々な物を掛け合わせた油彩画を制作しています。描かれるモチーフは、作家自ら造作したオブジェもあります(参考作品参照)。
作品は、こうしたオブジェに加えて、神話や歴史上の登場人物を思わせる人物像や記号など、多様なモチーフのレイヤーを複雑に重ねて構成されています。見どころは、圧倒的な写実表現により、過去のイメージと現実に存在する物が、画面上でフラットに同義化されていることです。本来なら異なるもの同士が同義化されることで、現実の前提を覆すパラドックス的な感覚を覚えさせ、いま目に映るものは果たして真実として映っているのか、を観る者に問いかけます。
参考作品:造作したオブジェを描いた作品
見どころ② ギャラリーの古美術コレクションから得た発想に基づいた作品を出品
《Strangers》キャンバスに油彩/53.0×45.5㎝(F10)/2024
作品について(熊倉涼子)
Quadrivium Ostiumで様々な地域や時代からやって来た品々を拝見したとき、彼らは時間や空間の境界を超えてふいに流れついた、漂着物のようだと感じました。その中でも私は、どこから来たのか、誰が作ったのか、正確な由来がよくわからないものたちに惹かれました。その多くは、ともすると捨てられて時の流れの中に埋もれてしまっていたのかもしれません。この展示は、そうしたギャラリーのコレクションから着想を得た作品を中心に構成します。
展覧会タイトルについて(熊倉涼子)
歴史の中で人々が世界を理解しようとする過程で生まれたイメージを元に、絵画を制作。あるひとつの事柄に対して多面的な視点で図像を集め、それを元に作品を構成している。そのようにして同じものに関する性質の異なるイメージを等価に扱うと共に、写実的な描写や落書きのような線などの複数の描写法を混ぜたり、画中画やだまし絵の手法を用いて描くことで、視覚的にも揺さぶりをかけ、目に見えるものとは何かを問う作品を制作している。
1991 東京都生まれ
2014 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
<受賞/その他>
2021 第34回 ホルベイン・スカラシップ奨学生
2019 群馬青年ビエンナーレ 入選
2017 FACE2017 損保ジャパン日本興亜美術賞 入選
2014 多摩美術大学卒業制作展 福沢一郎賞
2013 平成25年度 日本文化藝術財団奨学生
2011 第47回神奈川県美術賞 準大賞受賞
<個展>
2024 「Tange, movebis」三越コンテンポラリーギャラリー/東京
2023 「イメージの皮」銀座蔦屋書店アートウォール/東京
2022 「Mitákuye Oyás’iŋ」GALLERY ROOM・A/東京
「Transient Images」日本橋三越本店美術サロン/東京
「Merkmale」RED AND BLUE GALLERY/東京
2019 「coniunctio」MEDEL GALLERY SHU(帝国ホテルプラザ)/東京
2018 「Pseudomer」RED AND BLUE GALLERY/東京
2016 「PICTOMANCY」RED AND BLUE GALLERY/東京
2013 「Frame In-out」GALLERY KINGYO/東京
<グループ展>
2024 「人物と静物」ギャラリー小柳/東京
2023 「ホルベイン・スカラシップ成果展2023」N&A Art SITE/東京
熊倉涼子・岡田舜「S(ch)ein」TAV GALLERY/東京
2022 「The Fairest Fairs #1」TAV GALLERY/東京
2021 「シブヤスタイル vol.15」西武渋谷店美術画廊/東京
「Everything but…」Tokyo International Gallery/東京
2019 「STATION! in PACK 2019」Post Territory Ujeongguk/ソウル
「MID CORE」TAV GALLERY/東京
2018 熊倉涼子・永井天陽「DI-VISION/0」TAV GALLERY/東京
「ANOTHER LENS 新たな視点」JR上野駅Breakステーションギャラリー/東京
2017 「密柑山スケッチブック」(リトグラフ展)See Saw Gallery +hibit/愛知
「そ」(日本文化藝術財団奨学生展)京都造形芸術大学・東北芸術工科大学外苑キャンパス/東京
2016 「吉原芸術大サービス」旧吉原地区/東京
2015 「シブヤスタイル vol.9」西武渋谷店美術画廊/東京
「シブカル祭。2015」パルコミュージアム/東京
「ASIA WEEK NEW YORK」Bernarducci Meisel Gallery/ニューヨーク