VR映像風景:VRの中で鎌倉の切通を歩くと、不思議な別次元の世界が広がります。
ギャラリーQuadrivium Ostium(神奈川県鎌倉市)は、2024年7月16日(火)から8月4日(日)まで、越中正人によるVR作品「鎌倉七切通を通って正七角形を描いた日があった」の鑑賞会を開催します。
この鑑賞会では、アーティスト越中正人氏が制作した鎌倉時代の史跡でありハイキングコースでもある「鎌倉七切通」をテーマにしたフィクションの物語をVRで体験することができます。
越中氏は、現地取材を行いながら、鎌倉時代の歴史資料「吾妻鏡」から物語を構築しました。
物語は架空の空間で展開され、擬人化された古い木像やキリスト教修道士の木像などが登場します。
この鑑賞会は、越中正人のアート作品の魅力や「物語」という側面から鎌倉の歴史的な史跡である七切通の魅力を再発見することを目的としています。
ぜひ、鎌倉内外の多くの方に足を運んでいただき、鎌倉の歴史文化をアートを通じて楽しんでいただきたいと思います。
鎌倉七切通(かまくらななきりどおし)とは
鎌倉は三方を山に囲まれ、防衛上非常に有利な地形をしていましたが、人や物資の行き来には不便であったため、山の稜線を切り開いて道を作りました。これを切通(きりどおし)と呼びます。
鎌倉とその外を結ぶ切通のうち主なものを「鎌倉七切通」または「鎌倉七口」と呼びます。
鎌倉七切通は「名越切通(なごえきりどおし)」「朝夷奈切通(あさいなきりどおし)」「巨福呂坂(こぶくろざか)」「亀ヶ谷坂(かめがやつざか)」「化粧坂(けわいざか)」「大仏切通(だいぶつきりどおし)」「極楽寺切通(ごくらくじきりどおし)」があります。
(出典:公益社団法人鎌倉市観光協会 鎌倉観光公式ガイド「鎌倉七切通」から抜粋)
VR作品「鎌倉七切通を通って正七角形を描いた日があった」について(越中正人)
鎌倉時代とは名乗れないものがあるとしても、確かに存在する遺物から現代へ紐解くその行為と過去が今の礎となることへの戸惑いと誇りの定着から制作されたVR作品には、人の手では描けない正七角形が確かに存在する。
VR映像風景:切通を散策していくと、擬人化された個性豊かな古物が登場し物語が進んでいく。
[制作について]
実際の七切通の映像をVR化した上で、VR化した映像空間に対して3次元的にドローイングをしています。VR空間にグラフティ的ドローイングをすることによって、複層の視覚的レイヤーが生まれ、物語は現実の七切通を舞台にして複層する架空のレイヤーの中で展開していきます。
[物語について]
幼い頃から占いや願掛けが好きな長男、その妹、そしておっとりした両親からなる4人家族の物語です。
父親は自分たちの家族が「吾妻鏡」という書物に記載されたことを知り、「鎌倉時代」と名乗れるようになりました。
両親は喜びますが、子供たちはその意味が分からず戸惑います。やがて、町の人々から「鎌倉時代」と呼ばれることが広まり、家族は特別扱いされるようになります。しかし、その影響は家族の手に負えなくなり、家族は新しい場所へ逃げることに決めます。 道中、家族は「吾妻鏡」に記載された理由やその経緯を考え、噂される優曇華の花との関係性を調べることにしました。
物語は、越中正人が「鎌倉七切通」を舞台に「吾妻鏡 第二十六巻」を独自解釈し、家族の考察と想像、史実と虚構を織り交ぜて映像化したものです。七つの切通しはこの家族の目撃者であり使役者となっています。
越中正人 ステートメント
越中正人はこれまで「集合(集団)」と「個(個人)」の関係性に注目し、偶然または必然によって集まった「個」の集合の中においての存在意義や相互作用について、人、花、火、火星など、さまざまな素材を用いた写真と映像を制作してきました。
2007年に発表したシリーズ「echoes」は「USB Young Art Award」を受賞し、以降は、越後妻有アートトリエンナーレ(新潟)、WROメディアアートビエンナーレ(ポーランド)などの国際展に参加するなど活躍の場を広げています。
近年、「個」の一つの事象に対する視点や認識が、近年の飛躍的な情報量の増加によって多視点と多様性を持つ筈にも関わらず、メディアによって作られた一つの捉え方や判断が、一件一件の事実とは無関係な画一的な認識へと定着している事柄について問題視しています。
集団心理において、根拠が曖昧であるにもかかわらず、事実とは無関係に思考や言葉そして行動までもが同一方向へ加速度を増して一人歩きしています。
1979年 大阪市生まれ
2001年 ビジュアルアーツ専門学校大阪 写真学科卒業
[個展]
2024年 ″剥製パラダイム″ Quadrivium Ostium、神奈川、日本
2018年 ″つまり Please” nca | nichido contemporary art、東京、日本
2018年 ″NEWoMan ART wall” NEWoMan、東京、日本
2017年 ″何かによる、何かしらの、何かであって、そして何だか正しいらしい何か”Gallery PARC、京都、日本
2016年 ″NEWoMan ART wall” NEWWoMan、東京、日本
2015年 ″from one pxcel” ポーラ美術館、神奈川、日本2015年 ″Anagolism” C.A.P.神戸、兵庫、日本
2011年 ″individuals” nca | nichido contemporary art、東京、日本
2008年 ″double word” nca | nichido contemporary art、東京、日本
2008年 ″echoes” Gallery RAKU、京都、日本
2006年 ″a view from the view” VOICE GALLERY、京都、日本
2004年 ″Those who go with me” VOICE GALLERY、京都、日本
[グループ展]
2023年 ″AiF 入選作品コレクション 映像上映会” 藤沢市アートスペース、藤沢、日本
2022年 ″Any Kobe” FLORE Artist Gallery、神戸、日本
2019年 ″Artists in FAS 2019″ 藤沢市アートスペース、藤沢、日本
2013年 ″small works” nca | nichido contemporary art、東京、日本
2013年 15th WRO Media Art Biennale 2013, ヴロツワフ、ポーランド
2012年 BIWAKO Biennale 2012, 滋賀、日本
2009年 越後妻有アートトリエンナーレ 2009 at FUKUTAKE HOUSE、新潟、東京
2009年 ″visible and invisible” MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w、 京都、日本2008年
″Identity Ⅳ” nca | nichido contemporary art、東京、日本
2007年 ″UBS Young Art” G27, チューリッヒ、スイス
2007年 ″Masahito Koshinaka + Yukihiro Yamagami” baobab, 京都、日本
2007年 ″into the photograph, out of the photograph” Third Gallery Aya, 大阪、日本
2005年 ″ZONE-POETIC MOMENT” TOKYO WONDER SITE, 東京、日本
2004年 ″Toyota Triennale 2004″ 豊田市美術館、愛知、日本
2001年 ″field of field″ gallery Ren、京都、日本
2001年 ″Mio Photo Award 2000 受賞者新作展″ Tennoji Mio、大阪、日本
2000年 ″Mio Photo Award 2000″ Tennoji Mio、大阪、日本
[アーティスト・イン・レジデンス・プログラム]
2019年 ″Artists in FAS 2019″ 藤沢市アートスペース、藤沢、日本
[受賞歴]
2000年 Mio Photo Award 2000優秀賞受賞
[奨学金]
2015年 ひょうご安全の日推進事業助成金、兵庫、日本
2013年 助成金給費 駐日ポーランド共和国大使館 広報文化センター、東京、日本
2007年 助成金給費 THE UBS ART COLLECTION、チューリッヒ、スイス
[コレクション]
国内外コレクション 多数