《ユニコーン》陶、金彩 25×14×9(㎝) ©2024 Sonoko Nukaga
「かさなる地平」展について(額賀苑子)
「古の物語の登場人物と同じ地平に立つには」
ふるい物語や、昔の人が使っていたもの、作ったものと対峙する時、自分が立っている地平とは別の世界を想像する。
物語もふるい物も、彼らが生まれた瞬間から一度も途切れることなく存在し続けて、いま私の眼前までたどり着いたというのに。
彼らと我々の間に存在する断絶の正体は何なのか。
長い時間を渡り歩く中で少しずつ変容してきたで彼らの姿形によるものなのか、それとも、文明という強い光源で照らされた我々の足もとにできた濃い影のせいなのか。
Quadrivium Ostiumを訪れた時、生活とともに何の違和感もなく古美術が存在している空間で、私と彼らの間にある細く危うい糸のような繋がりは、実際には勇ましく堅牢な結びつきなのではないかと感じた。
それならば、彫刻という重く遅い視覚メディアでこそ、過去と現在、ふるいものと生まれたてのものの間にある、断絶とつながりを再考する試みができるはずだ。
もう一度神話や昔話に登場する人々と同じ地平に立つために。
「額賀苑子ステートメント
空間や質量の中に歪みやズレを取り込みながら制作することで彫刻という実存感が強いメディアに曖昧さや割り切れなさを含ませようとしています。
鑑賞者が正面を探し、不安定に立ち上がる立体の周りを歩き回ることで、「存在する」ことと「見る」という行為の間に横たわる断絶について思索を巡らせるような表現を試みています。
本展覧会の見どころ
展覧会のタイトル「かさなる地平」とは、古と今を各々の地平と見立て、表層意識より更に深い無意識の深層に在る、ふたつの地平のかさなりを彫刻表現によって表そうとする意味が込められています。
絵画的要素が取り込まれた陶の小作品も出品します。額賀苑子の彫刻世界を満喫する展覧会です。是非、ご高覧ください。
©SonokoNukaga
©SonokoNukaga
©SonokoNukaga
額賀 苑子
Sonoko Nukaga
1989年
神奈川県生まれ
2013年
東京藝術大学美術学部彫刻科卒業
2015年
東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程卒業
[展覧会]
2013年
″New Artists 2013″ Gallery Jin Projects/東京
2014年
″Art jam 2014″ Gallery Jin Projects/東京″ジ・アートフェア+プリュス-ウルトラ2014″ スパイラルガーデン/東京
2015年
″ジ・アートフェア+プリュス-ウルトラ2015″ スパイラルガーデン/東京
″人像Part.1 Form<形態>須崎祐次
×額賀苑子” エモン・フォトギャラリー/東京
″アートアワード トーキョー丸の内2015″ 丸ビル1階マルキューブ/東京
″Duet series vol.3 額賀苑子・天明里奈二人展″ Gallery Jin Projects/東京
″3331アートフェア2015-Various Collections’Prizes-″ 3331 Arts Chiyoda/東京
2016 年
″not clear″(個展)Gallery Jin Projects/東京
″3331 アートフェア 2016″ 3331 Arts Chiyoda/東京
2018年
″陶×藝×術” FEI ART MUSEUM YOKOHAMA/神奈川
2019年
″内包された温度” 東京藝術大学大学美術館/東京
″紗のむこう″(個展)Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi/東京
2022年
″二人展 北村早紀+額賀苑子「 」″ MIDORI.so Bakuroyokoyama/東京
2023年
″影の吐息”(個展)Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi/東京
[受賞歴]
2011年 久米圭一朗賞
2013年 安宅賞
2015年 アートアワードトーキョー丸の内 審査員:建畠晢賞/杜賞
2020年 TAGBOAD AWARD 特別審査員賞 小山登美夫賞
[コレクション]
2018年 「九転十起生・広岡浅子像」大同生命保険株式会社 大阪本社ビル/大阪
展覧会期間中トークショーとレセプション・パーティーを開催
開催日時:6月8日(土) 14:30~17:00 予約不要
トークショー:14:30~15:00
スピーカー:額賀苑子(彫刻家)
ファシリテーター:黒田幸代(Quadrivium Ostiumオーナー)
レセプション・パーティー:15:00~17:00 出入り自由
開催会場:ギャラリーQuadrivium Ostium
参加費:無料