五月女 寛「奥行き」 2026年3月7日(土)~3月22日(日)

「今ここ」の自分であること—五月女寛の「而今」世界

【本展の見どころ】

日々の暮らしの営みは無限の「奥行き」をもった創造の連続です。
奥行きとは、過去でも未来でも、上昇でも下降でもない、「今ここ」の状態で進むうちなる自己へのベクトルです。
言い換えれば「創る」「作る」道のりであり、それは私にとっての喜びに他なりません。
その結晶である作品を実際に観て、触れて、感じてください。

《壺》 陶 / H175×W120×D120mm / 2025
墨象《無題》 H365×W258×D20mm / 2025

五十歳で大手ゼネコンでの生活に別れを告げ、創作中心の暮らしへと歩み始めた五月女寛。
7年前に南信州の伊那谷に移住し古民家に工房兼自宅を構え、自ら手を加えた空間で、畑を耕し、土をこね、火と対話する日々を送っています。
「情報がひっきりなしに入ってくる生活から離れ、毎日目の前のことを楽しみながらこなしていくことで、瞬間瞬間を生きていると実感している」「今をどういうふうに過ごすか、たのしむだけ」五月女の言葉は、禅的な「而今(にこん)」の精神を思わせます。
李朝の陶工たちが日々の器づくりの中で到達した無心の境地のように、陶芸史に脈々と流れる「今この瞬間に在る」という姿勢が、五月女の制作の核にあります。

佇まいの美しい陶

まろやかフォルム、柔らかい質感は、繊細な手びねりで生み出されます。
白い釉肌には無数の細かな「かいらぎ」を宿します。
かいらぎとは、釉薬が焼成時に縮れて生じる梅花状の結晶。
井戸茶碗に珍重されるこの現象は、人為を超えた窯の偶然が生む美として、古来より茶人たちに愛されてきました。
土と釉と炎の対話から生まれるかいらぎと従来の枠にとらわれない自在な創造力で生み出される作品は独創性に溢れています。
それでいながら五月女の陶は置かれるところに自然と溶け込み、唯一無二の存在感を示します。

「今ここ」での不可逆な身体と精神の痕跡―「墨象」シリーズ

また今回は「墨象」と名付けたシリーズも出品されます。五月女寛の「墨象」の特徴は、支持体が紙ではなく「土」であることです。
土の上に描きたいという想いから独自の化粧泥を木製パネルに塗り墨で描いています。
陶と墨象は共に「今ここ」の身体と精神の痕跡を刻むという点で通底しています。

ひとりひとりがそれぞれの奥行きを感じて欲しいー五月女寛

本展のタイトル「奥行き」は、空間的な深さではなく、時間的な広がりでもなく、内へと向かう精神の運動を指しています。
それは近代陶芸が追求してきた自己表現としての「作家性」とも、用途に奉仕する「用の美」とも異なる、第三の地平です。
「今ここ」を生きながら紡ぎ出した、無限の奥行きを持つ造形の世界を是非体感してください。
そして、お手にとって陶から伝わるご自身の「奥行き」を感じてみてください。

五月女 寛 / さおとめ ひろし

1969年 千葉県生まれ
1993年 日本大学理工学部大学院建築学科 卒業
2005年 東京・雑司が谷にアトリエを開設

以後、個展を中心とした作品発表を行う。従来の枠にとらわれない自由な発想のもと、土と向き合いながら素材のもつ可能性を探究。手びねりで一つひとつ時間を掛けて仕上げる方法を用い、オブジェ、器、花入れ等を制作。2017年からは土をキャンバスにした墨象画を発表。2019年に信州・伊那谷に移住。豊かな自然に寄り添う暮らしの中で創作を続ける。

Hiroshi Saotome
[Ceramic artist and painter. ]

Born in Chiba , 1969, opened his studio in Tokyo ,2005.
Based on free inspiration that is not bound by conventional ceramic art methods,
he explores the possibilities of materials .
He creates objects, tableware, flower vases, etc., each piece is finished by hand, one by one, taking time, without using a potter’s wheel.
Since 2017, he has been presenting Bokusho art ,abstract sumi ink paintings, using ceramic clay as a canvas.
In 2019, he moved to Inadani, Shinshu , where he continues to create in a lifestyle close to the richness of nature.

【近年の個展】
2020 「五月女寛 展」 エッケプンクト/東京・九品仏
     「五月女寛 陶展」 hal/静岡・沼津
2021  「主人公」 SPIRAL/東京・青山
     「五月女寛 作品展 陶と墨象」 花と休息wakamatsu/長野・木曽奈良井宿
2022  「五月女寛 陳量 二人展」 信州高遠美術館/長野・伊那
2023  「五月女寛 展」CAFÈ LA RUCHE gallery/大分・湯布院
     「五月女寛×尹 韻雅 展 鑿池 明月入」中町蔵シック館/長野・松本
2025  「五月女寛 作品展」ルーサイトギャラリー油屋/長野・追分
     「五月女寛+神藤啓介 展 ~山波~」ギャラリーワッツ/東京・青山

©佐藤佳乃子

【イベント】「海と山と、それから」参加アーティストによるトークイベント[予約制]

テーマ :風景について 
参加アーティスト:稲垣美侑、タナベルン、山浦のどか 11月1日(土)18:30~20:00
会場;HUG FOR_.(鎌倉市由比ガ浜1-1-29 今小路ビル2F

株式会社Quadrivium
〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
Tel:080-5430-6641 (黒田)  Mail:s.kuroda@quadriviumostium.com

<タナベルン 過ごす>― 展覧会概要―
開催期間:11月1日(土)~11月23日(日)まで
休廊日:毎週 月曜・火曜
営業時間:11:00~18:00
予約:不要
入館料:無料

株式会社Quadrivium
〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32
Tel:080-5430-6641 (黒田)
Mail:s.kuroda@quadriviumostium.com
【展覧会期間中:予約不要・展覧会期間以外は予約制】
水曜定休・ほか不定休 営業時間 11:00〜17:00

© Quadrivium Ostium
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