朝鮮半島(李朝)もしくは中国(明)
約33×18㎝(高さ×奥行)径17.6㎝/28㎝(手含む)
箱書「李朝木彫厨子」「石黒忠悳 父/平野順作 良忠/甲州〇屋 在勤中求之」
貼り紙「先大人嘉永年 中行[?]甲府に購 明時代之物也 石黒忠悳□ [花押?]
頭に宝珠を乗せた円筒状の厨子です。
左右には耳形の手、底は円形に沿ってカーブを描いた脚が3本付いています。
壁は薄く外側にノミ跡を残してありところどころに朱漆が残っているのが見られます。
空洞の内側は、底面には円周に沿って細いラインが引かれ天井には龍の模様が描かれています。
龍は前脚1本、後ろ脚2本、三又に分かれた尾と脚を持ち細長い胴をうねらせながら空を舞っているようで、鍍金の跡が残っています。
入り口は雷文のレリーフで縁取られ宝珠を乗せていることから、寺の伽藍と見立てて作られているとも見受けられます。
本体の底に貼られている貼り紙と箱書きから、持ち主が石黒忠悳氏であったことがわかります。
しかし、箱書きの内容と貼り紙の内容が一部異なることから、朝鮮半島(李朝)か中国(明)のものなのかは分かれるところです。
貼り紙の内容に沿えば「先大人」の時代、嘉永年間(1848~1855)に日本にあった明時代(1368~1644)ものとなります。
江戸時代後期には煎茶などを中心に中国趣味が流行した一環で日本にもたらされたのかもしれません。
箱書きの時点で「李朝」となったのはどのような理由なのかは謎のままです。