桃山
約3.3×5.3㎝(高さ×径)
小ぶりな袖香合です。
蓋から全面に桃の彫が施されています。
蓋上には、テーマである吉祥紋の桃の実と花が象徴的に配され全体を引き締めています。
蓋上以外の側面はぎっしりと実と葉で覆われています。
彫は実際に近い形でデフォルメされており、くっきりとした葉脈模様が印象的です。
また、実や花の下側に葉がもぐり込む立体的表現が厚みを持たせており生命感に溢れています。
袖香合は茶の湯の発展とともに茶道具として転用され、室町から江戸時代にかけては個性豊かな作例が多いと言われていますが、この作品は大陸文化を積極的に取り入れ模倣した時代の鎌倉彫らしい異国の風情と純粋な力強さがあります。
小さいながらも文化融合の妙とパワーに溢れた逸品です。