江戸初
約2.3×7.4㎝(高さ×径)
蓋表に楼閣人物図を配した円形の香合です。
木々の間に佇む楼閣のテラスに顎髭をたたえた二人の人物が机に向かって座り談笑しています。
一人は机に肩肘を付きリラックスした様子で、気のおけない親しい知己を迎えたのでしょうか、
東屋の階段を下りた庭では、もてなす茶を炉で沸かしている使用人らしき人物がうちわを仰いでいます。
談笑する人物の顔の表情や机に置かれた文房具や家具、建物の欄干模様、木の葉にいたるまで極めて細かく彫られています。
側面は中央に花が入った入子菱文で埋めらており、蓋表の空間も隙間なく入子菱文が彫られています。
堆朱のような精密な模様や絵画のような表現は中国元時代の工芸品に通じるものがあります。
見れば見るほど温かい気持ちになれる華やかで豪華な逸品です。